上橋菜穂子作のファンタジー小説、「獣の奏者」をご紹介します

人と獣は分かり合えないのだろうか…「獣の奏者」

本作は2006年に講談社より刊行されました。「闘蛇編」と「王獣編」の2冊構成となっていて、作者曰く「王獣編」の終わり方が至上のものだと考えていたそうです。しかしあまりの人気から、者からその後の続きを描いて欲しいというリクエストが次々と寄せられ、「探求編」と「完結編」、さらには「獣の奏者 外伝 刹那」の計3冊が追加で描かれました。

上橋菜穂子はファンタジー小説家としては非常に有名で、他に「守り人シリーズ」など多くの大ヒット作品を生み出しています。

あらすじ

闘蛇衆の村で暮らす幼きエリンは、闘蛇専門の獣医の母と共に過ごしていました。ある日闘蛇は突然大量死してしまい、エリンの母はその罪を負わされて死刑の判決を下されてしまいます。死刑の当日、エリンは溜まらずに母を助けようとしますが、そこで母はエリンを助けるために禁忌を犯してなくなってしまいました。

母のおかげで生きながらえたエリンはジョウンという男に助けられ、生活を共にするようになりますが、母が犯した禁忌とはなんであったのかを考え続けます。そしてエリンはジョウンと別れ、王獣と呼ばれる国の権威の象徴ともされている獣の獣医学校へと行くことに決めました。決して人と分かり合えないとされている王獣でしたが、エリンは心を通わせることに成功しました。

そこから見えてきた母が抱えていた真実、そして国の実情までもを含んだ大きな闇をエリンは目の当たりにし、大きな決断と戦いに巻き込まれていくのでした。

みどころ

エリンは王獣の世話を通じて、リランと呼ばれる1匹の王獣と馴れ合うことができるようになります。決して人に懐かないとされていた孤高の獣、王獣でしたが、エリンとリランの心温まる生活の様子は心を和ませてくれます。

また、途中でリランとは絶対に分かり合えないのだと苦悩するエリンの姿も、その苦悩が手に取るように分かる描写が素晴らしい作品です。悩み続けるエリンに対し、最後にリランがとった行動にも考えさせられます。

さらに、王獣の美しさやのびのびとした気品ある姿を容易に想像することができる、その文章力からも目を離せません。1人の少女が王獣と共に成長してく様子は一気見してしまうこと間違いなしです。ぐいぐい引き込まれるその世界観のスケールに脱帽することでしょう。