セカンド・ラブに登場する彼女が一人二役な件

この小説は「ラブ」が入っているので、一見恋愛小説だと想像できます。しかし、ただの恋愛小説ではありません。

ミステリー要素が入った恋愛小説と言えるでしょう。この小説は人間の強さや恐ろしさについて書かれています。恋愛小説ですが、主人公が報われることはありません。人間の表と裏が分かりやすく書かれていた小説だったと思います。

小説は14の章に分かれていて、最初の章はある女性の結婚式の場面です。主人公の正明は春香という女性に思いを寄せていましたが、結局結ばれずに春香は別の男性と結婚し、結婚式というのは春香の結婚式でした。次の章では正明が初めて春香と出会った頃に時間が戻ります。

正明は両親を亡くし、上京して家具製造の工場に勤務しています。人付き合いはあまりありませんが、紀藤という職場の先輩とは関わりがありました。そんな紀藤からスキーに誘われて、大学院生の春香と出会います。一緒にスキーを楽しんでから、正明は春香と付き合うようになりました。

ところがデートをしている時に、春香は正明の知らない男性から声を掛けられます。その男性は春香のことを美奈子と呼んだのです。美奈子はホステスらしいのですが、春香は自分が美奈子ではないと主張し、その場をなんとかやりすごしました。

しかし正明はこのことが気になって、スナックに向かいました。そのスナックで当の美奈子と出会ったところ、彼女は春香に瓜二つでした。美奈子によれば春香は双子の姉妹で、訳あって幼い時に離れて暮らすことになったそうです。スナックにはこの後も通い続け、やがて関係を持ってしまいます。

その春香とは初めてのデート後、会う機会がないときもありましたが、実家の両親に挨拶に向かったりして、親密な関係を続けていました。しかし、そんな春香に衝撃の事実が分かったのです。

なんと、大学院生の春香は美奈子としてホステスで働いていたのです。正明はなかなかその現実を受け入れることができません。「本物」の美奈子のことを知るために、彼女の故郷である秋田を訪れた正明は全てを知ります。

最後の章は空港の場面で、春香と正明の先輩紀藤の会話で事の顛末が語られます。正明はその場には絶対に入れませんでした。この章を読むと、正明が置かれている状況が分かります。

二人が本当は一人

小説の最初の章で、春香と美奈子という二人の女性についての言及で、正明は二人の女性と何かあったのではと感じました。ところが、春香との最初のデートでは見知らぬ男性から美奈子に間違えられました。ここで、春香と美奈子は双子なのではないかと想像することができます。しかし結局、春香が美奈子を演じていて、一人二役だったというわけです。

春香が美奈子として演じるときには、本当に美奈子でした。双子であれば、顔表情や体型、声が似ているのは当然です。正明が疑うことはありませんでした。

ただ春香は美奈子として正明に接している時に、変な気分にはならなかったのでしょうか。いくら一人二役といっても、正明に会うことには変わりありません。正明を騙していたとはいえ、本当に春香の演技力には脱帽です。