全てがハイクオリティ!心踊り魂揺さぶる映画「SING」

大人も子供も泣いて笑って歌って!SING

子供から大人まで幅広い世代の心を鷲掴みにしている『ミニオンズ』シリーズを手掛けているイルミネーションスタジオ。近年は、ペットなど動物を主役にしたアニメーション映画を得意とし、どの作品も大ヒットを繰り返しています。そのスタッフが、アメリカでは2016年12月、日本では2017年3月に公開した映画SING。どこか落ちこぼれな部分のある動物たちが、それぞれの良いところを補って一躍スターになるサクセスストーリーです。歌あり、ダンスあり、のポップな部分と、親子の絆、友情、夫婦愛など人の心に訴えかけるようなストーリー展開に親子で釘付けになりました。

初めは駄作だとバカにしていた

このSINGが公開された時、正直私は「この作品は売れない、コケるだろう」と思っていました。子供に馴染みのある、コアラやブタやゾウなど、かわいい動物たちが出ているものの、ミニオンズほどのインパクトもなく、ただ可愛いだけ。声優陣は大物歌手ややり手の声優が入っていたものの、主演はお笑い芸人のウッチャン(内村光良)、しかも「斎藤さんだぞっ☆」といって少ない髪をかきあげるだけのトレンディ・エンジェルの斎藤司……面白いかもしれないけど映画としての完成度は低いだろうとバカにしていました。しかし、実際に映画を見て、それが間違いだったとすぐに気づきました。

非常に完成度の高いユーモアのある作品だった!

設定が昔歌手の舞台をみて、憧れて舞台経営者になったものの落ちぶれてしまい、再起を図るためにした試みが事故が重なりおおごとになっていくという展開なのですが、映画というおおよそ2時間以内という短い尺の中で、キャラクター構成(相関図)、ストーリーの導線がしっかりできていて、意味のわからない展開(説明不足)や登場動物の存在意義(必要を感じない動物の存在)がなかった、皆がそれぞれ重要な役割を果たしていることが面白さを存分に引き出していました。今回制作にあたり、アメリカだけでなくフランスの若手クリエイターと国境を超えてストーリーを作成したようで、そんなワールドワイドな創作手法がスケールの大きな映画に仕上げたのかもしれません。

老若男女問わず心を鷲掴みにする歌の数々

今回、オーディションシーンがあったため、短い曲も含めると60曲以上!エンドロールを飾るのは、あの歴史に深く名が残るであろう大物歌手スティービーワンダーと、いま若い世代から絶大な人気を誇り、日本ではユーチューバーでヒューマンビートボクサーHIKAKINとのコラボもしたことのあるアリアナ・グランデのパンチのある最強タッグ。劇中歌はフランク・シナトラなどの往年の大物歌手からテイラー・スイフトのような若手歌手まで幅広く有名な歌手の歌を起用し、声優陣がとても上手に歌い上げています。広い世代を意識しているため、とてと馴染みやすく広めやすい作品なのです。

夢を持つことは悪いことじゃない、ひらめきと諦めない心が夢をつなぐ

この映画のテーマは、とてもシンプルである意味ベタです。夢を持つこと、諦めないこと、叶えること。よくある映画のストーリーです。しかし、この映画が素晴らしいのは、その夢を描いて、挫折するシーンがとてもきめ細やかに描かれているのです。歌は上手いのに壊滅的に内気な少女、心は優しいのに親は極悪非道なマフィア、尽くした彼氏に裏切られるティーンエイジャーなど、皆設定がきめ細かく、抱える問題が現代的なので共感や胸を打ちやすい内容でした。そして必ず最後はハッピーエンドに終わるのがいいところ。この作品は全てのキャラクターが善人でないということや、全てのキャラクターが必ず何か足りない部分があり、それがインパクトがあるので、それらが合わさって1つのステージを完成させた時、パズルのピースのようにぴったりと合わさって最高の感動と笑いを呼ぶのです。

オススメは字幕版より吹き替え版!

もともと、映画は吹き替え版の方が日本人に馴染みやすくできていますが、この作品は特に日本語版がオススメです。
登場する声優たちの歌唱力が抜群だからです。声優として幅広く活躍していて伸びのある声量で定評のあるロジータ役の坂本真綾さん、歌唱力はさることながら歌詞が心に響くジョニー役の大橋卓弥(スキマスイッチ)。腹の底から響き渡り迫力満点のミーナ役のMISIAさん。どんな声もやりこなす伝説の声優、マイクの山寺宏一さん。この方たちは本業なので上手いのは当たり前なのですが、今回歌手活動をしていないグンタ役のトレエンの斎藤さんと、アッシュ役をつとめた長澤まさみさんがとても上手に歌い上げていたのが魅力でした。誰一人下手な人物はいませんでした。グンタとロジータの歌は基本的に英語なのですが、きちんとご本人が吹き替えているのでとても聞きやすく楽しいです。歌詞も歌唱力もとてもいいのに、サントラにその全てが収録されていないのがとても残念です。

今思えばなぜ駄作と思ったのか…最高の作品

結論としては、構成、キャスト、キャラクター全て満点の作品でした。DVDが出てから、娘は何度もレンタルして見て、ついには英語も日本語も歌詞をつけて歌うように…。私も時に切なくなりながらも、何度も飽きずに鑑賞しています。
思い切り笑える作品です。ご家族と、恋人と、友達と、ひとりで是非ご覧ください。